最近市場では奇妙な現象が起きています。USDTの価格が下落し続けている一方で、ビットコインなどの主要コインは上昇しています。一体どういうことなのでしょうか？

まずUSDT価格が下がる理由について説明します。核心的な原因は出金チャネルが詰まっていることです。ビットコインが一定の価格まで上がると、多くの人が利益確定をしたくなります。通常の流れは、コインを売ってUSDTに換え、C2C（個人間取引）を通じてUSDTを法定通貨に換金することです。しかし現在問題となっているのは2番目のステップ、つまりUSDTを法定通貨に換える道がほぼ塞がれていることです。規制強化によりC2Cチャネルのリスクが急増し、多くの人が手元のUSDTを現金化できずに持ち続けています。

その結果、「売りたいけど出金できない」USDTが市場に大量に溜まっています。供給が急増し、需要が減少すれば、当然価格は崩れます。この時のUSDTは、出口のない中継地点のようなもので、どんどん積み上がり、売り圧力が強まっています。

では、なぜコイン価格は上がり続けているのでしょうか？実は論理はとてもシンプルです。資金が場内にロックされているからです。コインを売ってUSDTに換え、現金化しようとした人たちは、USDTが全く現金に換えられないことに気づき、手元のUSDTがどんどん価値を下げるのを見ているしかありません。そこで一部の人は逆の行動を取ります――どうせ出金できないなら、USDTを再び仮想通貨市場に投じてBTCや他のコインを買い戻すのです。この「仕方なく市場に留まる」資金が、逆にコイン価格を押し上げています。

要するに、これは流動性のジレンマです。出口が塞がれ、資金が場内で何度も循環するしかない。USDT価格が下がるのは買い手がいないから、コイン価格が上がるのはお金が外に出られずコインを買い続けるしかないから。この状態がどれだけ続くかは、出金チャネルがいつ正常な流動性を取り戻すかにかかっています。